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第27回公演「筋肉少女」東京・大阪公演決定
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2012年10月20日土曜日

ぼくらはみんな生きている 怪獣使いと少年少女

いま、大阪中崎町は、common cafeで、このコメントを綴っている。
昨日から、茶ばしら、というユニットで来ているからだ。
(○演している、と書けば怪しまれる昨今の劇場規制に目くじらを立てるが…)
さて茶ばしら、だ。主宰溝端理恵子のものだ。あ、今彼女小屋入りしてきた。
小柄で華奢でキャシャーンで、しかし心は演劇青年、少年の彼女だ。
4年前の初演から連投でお付き合い。ということは、主宰がこの作品を気に入ってくれてる証拠だ。石原作品を女性主宰者がお気に入りにしてる事に注目してほしい。女目線からみて再演を観たいと思わせる作品になってくれたこの「怪獣使いと少年少女」に、僕も感謝してる。F先生ならドラえもんの流れの中で評価された未来の思い出のようなものだろう。
さて。そんな両極端の振れ幅から出来た癒し系大盛り演劇。怪少(めんどくせえから省略形)だがこれまでの正一ショーとも共通するのは、石原のルーツにあるのは、
「役者が楽しくなけりゃ芝居じゃない」
である。フジテレビがひょうきん族や夕ニャンでイケイケだったころのキャッチフレーズを彷彿させるいかにも80年代に青春を捧げたものの言葉だ。それは僕が生まれてはじめて体験した「そとばこまちZIZZY」伊丹公演に感動した印象がそれだったからだ。(今思えば彼らが実に楽しそうに写ったのはその裏の練習稽古の賜物であってちゃらちゃら楽しいのではなく、楽しさに向かい懸命に舞台に命をかけた結果であったことを、まだ子供の僕は感じ取らなかった。し、それは観客が想う事ではないからそれで良かったのかも知れない。)
話が逸れた。そう!演劇は!舞台は!楽しいものが僕は観たいのだ。唐十郎も楽しいのだ。プラン9も楽しいのだ。月刊コントも野田秀樹も舞台の「熱」にやられてしまうパワーがあるのだ。
30代以下の演劇世代には彼らの演劇感があるだろうから上手くは言えないが、ひとの芝居を観ない傾向は多いと感じるし、反対にそれを意識してるものの集団は演劇へのひたむきさを感じるし、それは演技にも現れていると思う。野田や鴻上やケラ、いのうえ歌舞伎や大人計画、後藤ひろひとや西田シャトナーに感化されようとする現代の若者はどれくらいいるのだろうかと思うが、やはりそこは居る訳で。茶ばしらの溝端もその一人だと想う。
先日のIWGP戦で鈴木みのると対戦した棚橋の試合後インタビューの涙の訴えにあった「プロレスへの愛」は、僕らが想う演劇へのそれと同じなのだ。
話がまた逸れた。そう!今回の茶ばしら、喫茶店に集う若者の群像劇であり、「そこ」を愛するものの愛の競い合いである。店員に、店内に、むしろ集うメンバーに、向けた愛であると。それを演じてもらう今回の面子も、やはり演劇を愛するかたばかりだ。様々なジャンルの演劇愛をもつ彼らをまとめるのは大変である。
果たして昨日の公演初日は、ぼくらの苦労が報われた「幸せな」演劇だったと想う。
来てくれたお客さまの笑顔は、ぼくらを勇気づけた。その分、ぼくらも勇気を捧げた。幸せのスパイラルだった。手前味噌だが、ボクは出演者の素材の持ち味、吟味した素材の活かし方は心得てると自負する。参加メンバーの舞台を観て感じた「彼のここが好き。彼のまだ観ぬこんな部分を引き出したい!」を抽出していく稽古期間を重ねて作品を提供している。そして、上田耽美も新しい弾けっぷりを見せたし、白井宏幸も内面で評価できたし、田中尚樹も若々しさ充分出せた。若旦那家康の意外な演技に舌を巻いた。マツイカヅアキ、上原日呂、泥谷将、林裕介、は期待通りの実力を発揮し、隈本晃俊氏の重厚な存在感は真似できないものであった。そしてWヒロインの呉城久美は、若さに似合わぬ強かな発声が素晴らしい。そう、役者は声なのだ。台詞は歌なのだ。そのヴォイスに魅了されたいのだ。彼女の美貌、麗しい言葉は演劇の宝だ。山崎彬に感謝すべきだ。
そして溝端も、己が起てた、おっ立てた自軍の旗のもと、信じる演劇を紡いだ。彼女のガッツは数年後の関西を脅かすものであってほしいと、想うのだ。

これだけの演劇が、月曜まで行われている。のだが、興味のない方には全くもって効果なしである。原発がどうだ、与野党がどうだ、日中関係がどうだと騒いでも、ゲームに夢中な少年には効果無しのように。己の劇団に夢中な青少年のように。それはそれで仕方ないと想うのだ。弱肉強食の世の中に、我らの演劇はその程度なのだ。その程度のことを、世が想うよりそれ以上の気持ちを持って進むしか無いのだと、想うのだ。想うのです。

さて、役者が小屋入りしてきたようだ。そろそろ今日の準備を。

みなさまに、すてきな日が訪れますように。
Theピーズの「クリスマス」の気持ちを胸に。誰も助けてくれないから、ジブンと味方を信じて、今日もお元気で!

10月20日 石原正一


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